サーバーを24時間稼働させるためには無停電電源装置(UPS)が必須です。万が一停電が起きても、蓄電されたバッテリでサーバーを稼働させたり、停電が長引くようであれば自動でサーバを安全にシャットダウンすることが可能です。
私がシステムを納めるところは、比較的地方、言い方を変えればかなりの田舎が多いのですが(苦笑)、田舎は電源事情が安定していないところも多く、UPSは欠かせないものになっています。例えば停電こそないものの、電圧がよく100V未満まで落ち込むため、UPSのバッテリを利用して100Vを保ってもらったりします。有名なAPC社のUPSではこれをAVR Boost機能と呼びます。それでもさらに電圧が下がるとUPSは停電と見なし、シャットダウンを指示することになります。
さて、とあるお客さんの環境で夜間のみUPSによってサーバーがシャットダウンする問題が発生しました。昼間は一度も停電しないのに、夜は毎日のように発生します。色々調査しましたが、コンピュータ屋の私では限界があるので電気保安協会に調査を依頼しました。同会は測定器を設置し、24時間電源を監視してくれましたが「停電は発生していない」とのつれない返事。かといってサーバー機本体やUPSにも問題はなさそうです。
そこで電気保安協会に電話をしてもう一度調べてもらえないか泣きつきました。すると測定時のログがあるというので見せてもらったところ、確かに100Vを切るような電圧降下はなかったのですが、逆に夜間110Vを超す高電圧状態になっていることがわかりました。実はAPC社のUPSにはAVR Trimというすばらしい機能もあります。高い電圧の場合、これをカットして100Vにしてくれますし、あまりにも高いと危険であると判断してサーバーのシャットダウンも行ってくれるのです。
つまり、電圧降下による停電ではなく、電圧の上昇によるシャットダウン(厳密には停電ではないですね)が発生していたのです。事実を知って私も電気保安協会さんも目が点でした。
ところでそのお客さんの所にサーバーとUPSを納めたのはかれこれ5年前です。しかし夜間シャットダウンする現象が起き始めたのは去年の秋頃の話。それで気付いたのですが、お客さんのところの町には大きな工場があったのですが、昨年秋の「未曾ゆう(笑)の経済危機」で閉鎖してしまったのです。それでも昼間は町中で電気を使っていますから問題はなかったのですが、夜になると非常に静かな町なので(夜間工場も稼働していないため)、コンセントの電圧が100Vを越えるようになってしまったようなのです。これはUPSがなければ発見できなかったでしょう。少々電圧が高くなったところで、テレビは壊れませんし、冷蔵庫も止まりませんから。
そして今日連絡がありました。その町全体で高くなってしまった電圧を見直す工事が始まったそうです。不景気で電気が余ってしまって電圧が上昇、サーバーがシャットダウンする話でしたが、案外みなさんの周りにもあるかもしれません。これからは停電以外も疑ってみてください。
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